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3月議会で下松市の人口ビジョンに関連して質問しました

主たる訴えは『下松市が仲人組織を作って晩婚化を阻止しよう』というものです。長文になりますが・・・面白いですよ。
構成は、                                                1.28年度税収増への期待                           2.創生総合戦略アンケートや「結婚と出産に関する全国調査」で注目する観点                              3.以上を踏まえて実施して欲しい人口増加策へのアプローチ         です。
以下、「下松市創生総合戦略」の子育て、結婚、出産等を問いかけたアンケート調査を「市のアンケート」と、また、国が行った第14回「結婚と出産に関する全国調査」を「国の調査」と呼称します。                    なお、国の調査は5年ごとに行われていますが、新しい発表は28年秋になるそうです。最近5年間の変化は半端なものではないでしょうが、今回は平成22年夏の調査のデーターに頼らざるを得ません・・・残念です。
1としてまず、次年度税収増への期待についてです。             国の税収はリーマンショックの翌年の23年度の38兆円を底に毎年増収基調にあります。次年度、28年度予算は57兆円としており、この7年間で150%近い増収になっています。                           一方、下松市の市税の予算は91億円であります。これは、25年度決算の93億円、26年度決算の95億円より少ない見積もりであります。企業の経営環境は好転しており、国の増収見通しも踏まえれば、市の税収はリーマン以前の100億円台の期待が高まると、私は注目しております。                企業業績には波があり、税制改革の影響も大きく、いつまた反転して減収基調になるかは予測ができないことは承知の上ですが(殊に、今年に入ってからは景気の転換期にあるかとの危惧がでてきましたが)、こと来年度の法人市民税の課税標準=28年度3月決算に関しては、ほぼ現時点で予測ができる状況にあります。   できれば26年度決算実績95億円並の市税収を期待しています。           そこで、予想以上の増収となれば、予定していた補正とか基金の積み増しという対応になるのでありましょうが、来年度1年間に限ってこの増収分を「人口増のためのスポット的な助成」に当てていただきたいと希望するものです。

 

2つめとして、「市のアンケート」と「国の調査」から、注目する5つの観点を述べさせていただきます。
1は結婚、子育ての経済的な観点についてです。               市民アンケートでは、 ①園児の保護者に聞いた子育ての苦労の回答に金銭的負担が50%超あること、 ②未婚者の結婚しない理由の一番は経済的理由で81%となっていること、 ③出逢いから結婚までの期間が4.2年とあまりにも長く、これも経済的理由で結婚に踏み込めないということが主因であること・・・気になります。                                    一方、 ④未婚者の回答で子供が欲しくない率は僅か9%でしかないこと、 ⑤未婚者の子供の希望数は3人以上が19%もあること、等、若者は子供をもつことを望んでいること、これは一時代前と大きい差がありません。          経済的不安を払拭して若者を結婚に踏み込ませる、子供を希望通り作らせるのは行政の出番でありましょう。                         下松市の総合戦略においても、15P以下子育てに関する経済的な不安・負担の軽減、支援の充実、環境や体制の整備、小中学校教育環境の充実等、今後実施していく施策が細やかに表明されています。そして、来期の予算にも「さすが下松だ」と自我自賛したくなるような対応が早々なされていて誇らしい限りです。     下松市が『日本一子供が産みやすい街』をめざして欲しいと期待します。が、ここではこれら既成の施策には触れないことにします。
2つめの観点として、若者の結婚観について。                   市のアンケートでは、 ⑥未婚者のうち「結婚したくない」の回答は男女とも僅か5%以下でしかありません。全国調査によると、 ⑦ここ20年間の初婚年齢推移では、夫は1.8歳、妻は3.2歳も遅くなってしまっています。          また、日刊新周南の新成人アンケートによると、 ⑧「何歳で結婚したいか」の問いかけに「29歳までには」と回答した比率は男女ともほぼ90%となっていますが、現実には、 ⑨29歳まで結婚した割合は男性55%、女性70%でしかありません。一方、50歳までには男性は80%、女性は90%が結婚するというデーターもあります。                             いつかは結婚するけれど晩婚なのであります。                全国調査では、 ⑩29歳までに結婚した妻は、生涯ほぼ2人の子供を産みますが30歳を過ぎて結婚すると1.5人、35歳以降のケースでは1.1人と激減します。また、 ⑪希望の子供の数は、市も全国調査でも2.4人ですが、これは30年前から変わっていません。今も昔も夫婦は2人以上の子供が欲しいと望んでいるのです。                                 以上からして、結論として問題は晩婚化にあります。             初婚年齢が遅くなれば、その分希望する子供の数は減少する。また、女性の妊娠力も低下する。いきおい出生率は落ちる。晩婚化は少子化と直結しています。   なんとか29歳までに結婚させる・・・晩婚化対策は現在の人口ビジョンのなかで対応しなければならない最大課題のひとつであろうと思います。
3つめの観点は相手さがしです。                      市のアンケートで、 ⑫平均年齢30歳の未婚者の結婚するため条件に「相手が必要」が73%となっています。若者は結婚に興味がないということではない。しかし、20歳代では、結婚する、家庭を持つということは、日常生活の中で差し迫った課題でなく「いつかは」とか「どうにかなる」と思って過ごして30歳になるまで未婚なのでありましょう。若者に若いうちの結婚に興味を持たす、未婚の男女の家庭には結婚相手のデーターがどんどん舞い込む、多少意に添わなくても強引に婚活の誘いに乗させる・・・そんな仕組みが必要であると考えます。
観点の4つめは夫婦が産む子供の数についてです。              今回政府が打ち出した「1億総活躍社会」がめざす希望出生率1.8ですが、この1.8が現実であった35年前と比較してみると、 ⑬この間、特徴的なのは子供2人の家庭の数はほとんど変わっていないのに、一人っ子が6.8%増加し3人以上の数は10.8%減少したことであります。                一人っ子の比率増は見逃せない。これでは人口は増えません。
5番目は不妊治療についての観点です。                   「不妊」は、夫婦の心情を察すると人口ビジョンの関連で軽々に口に出すことがはばかられるテーマと思います。しかし、市の総合戦略の14Pには「不妊治療費に対する助成の充実と社会意識の改善の推進」と明確化されているので敢えて取り上げさせていただきます。                           全国調査では、 ⑭夫婦が理想の子供数を持たない理由の中に「欲しいけれどできない」という回答が16%あります。これは第一子目にかぎらず第二子目、三子目も含めてであります。女性の妊娠率は30歳代になると序々に低下して、38歳を過ぎると急激に減退するといわれています。ところが、晩婚化と女性の社会進出は妊娠の好機を逃します。                          今は仕事に夢中で出産のことなど考える余裕がないが、ふと気がついて妊娠を考え始めるのが30代の半ば、不妊症ではないかと病院に行くのが30代後半・・・別の本にはそんな記述もありました。これでは遅いのです。            さらに、 ⑮今、子供のいない夫婦に「不妊を心配したことがあるか」との問いに半数の52%が「ある」と答えていますが、しかし、注目されるのは、 ⑯その夫婦が「医療機関に行ったことがあるか」の問いに23%が「ない」と答えていることです。不妊治療は心理的に敷居が高い、そして金がかかる・・・そんなことで受診を躊躇するひとが多いということでしょう。                なかなか妊娠しないという実感がある夫婦に「そのうち病院に行ってみよう」から「すぐ行ってみよう」と後押しする仕組みが必要になりませんか。
以上、結婚、出産に関する5つの注目点を申し上げました。
そこで、3として、これまで述べた市税収の増加見込みを28年度単年度だけのスポット的な結婚、出産応援の人口増加の仕組みに振り向けて欲しいという要望であります。                                 私の提案を誤解を恐れず、ごくごく単純化して標語化すれば、「平成28年度中に1億円使って100人子供を増やす」ということになります。         以下の提案すべてがこのフレーズどおりに当てはまりませんが、主旨のみを受け止めていただきたいと思います。
1番目・・・市の総合戦略P13、「出会いの場のためのイベントの開催」に関して、2つほど注文させていただきたい。                   ひとつは「20歳+10式事業」、つまり30歳同窓会についてです。     30歳で集めるには遅すぎませんか。26歳ではどうでしょうか。            男はと限ってはどうかと思いますが、25歳をすぎると「家庭を持つ」ことの使命感がぼんやり出てきます。周囲からも様々煩わしくアプローチがでてくる歳でもあります。結婚意識の転機は26歳ではありますまいか。晩婚化が課題のなかで30歳では効果が薄い、遅い、そう思いますがどうですか。            もうひとつは集客策です。                        26歳同窓会も含めて婚活イベントに出席すれば、おみやげとして一人1万円の相当の市内の飲食券を渡すのはどうでしょうか。その飲食券をもとに二次会等、次の出逢いのチャンスも広がります。                       加えて、市内の20才から44歳の人口再生年齢層(一般的には結婚適齢期)の男女差、これは男性が約500人も多いことへの対応です。           男女人数をバランスよく増やすために、他市町に住む女性が市主催のイベントに参加すれば、交通費を市が負担するということはどうでしょう。         少し乱暴かもしれませんが、若者の間で話題になって伝播するような、言い換えれば行政の本気さが伝わるような、今年に限ってそのような刺激策を試みてみてはどうでしょうか。
2番目は行政による仲人組織の創設です。                     出逢いの場の創造のための催しは、行政も婚活会社も目白押しです。その気になれば、機会はいくらでもあります。しかし、30歳未満の若者には、急いで結婚しなければならない状況に置かされない限り、そのような婚活活動への本気な参加意識はありえないのではないでしょうか。                    そこで、見合い結婚についてです。全国調査では、 ⑰2010年に見合い結婚した割合は5%であるが、1982年、今から33年前には約30%であったとのこと。 ⑱現在、「結婚できない理由」の80%を越す相手探しの難しさは、昔は見合い、そして仲人という存在が解決してくれていたのであります。       そこで、行政が主体になって仲人組織を作ることを提案したい。                                           (1)市が結婚相談所を作って所長を置く                   (2)仲人希望のじいさま、ばあさまに登録してもらう             (3)仲人は結婚希望のある若者やその両親から相手探しの依頼を受ける     (4)それぞれ集まったデーターをもとに相談所所長が出逢いの場を作る     (5)成約すれば仲人に報酬を払う                       ・・・そんな仕組みであります。これなら、仲人と親とタッグを組んだ強い勧めにより、20歳半ばからでも無理やりの出逢いの場が設定可能になります。    仲人のイメージは昭和31年に発売された「愛ちゃんはお嫁に」の中の「でしゃばりオヨネ」の存在感です。電話も車もない時代に報酬目当てでなく他人のお世話をする「仲人」という存在・・・死語になりそうな存在。            私も過去20組くらいの仲介役をかってでました。居酒屋に若い二人を呼んで会合する仲介です。しかし、20組のうちひと組も成約しませんでした。      私とオヨネの違いは何か・・・親を巻き添いにしたかどうかにあると考えます。 オヨネは親に粘り強く勧める、親はやいのやいのと子供に迫る、子供は「もう少し後でも」と思いながらも説得に負けて“年貢を納める”             これが成功の図式であると考えるのです。                           市が主導して「仲人」を復活させましょう。仲人に報酬を支払うことは、高齢者に収入を与えるという仕組みにもなります。
3番目は、一人っ子減少対策であります。                  市のアンケートでは、 ⑲現状の子供のある家庭のうち一人っ子は22%にもなります。ところが、 ⑳一人っ子のままで良いと答えた比率は約6%でしかありません。                                   安倍首相は先の山口県の講演で「第3子以降に特化した重点的な支援策を行う」と表明しておられます。自治体のなかには、第三子目に特別誕生祝金を出している例もありますし、当市も含めて第3子以降に、子育て支援を手厚くしている市町もあります。この流れはさらに充実して欲しいと思います。             今回のスポット的な資金の使途として、私は「二人目創りの集中支援」を提案します。                                   当市は平成16年に、同時入所の二番目の園児の保育料は無料という全国にない画期的な施策を打ち出しました。今では他の市町も追従していると聞き及びます。そこで、今回は、現在一人っ子の夫婦に今年度に限り2人目を妊娠、出産すれば、その時点でたとえば、たとえばですが、30万円の祝い金をだすという制度は如何でしょう。                                 これも多少乱暴ですが、現在2人目を迷っている夫婦への刺激効果は期待できますし、そこからさらに3人目という可能性もでてくると思うが如何でしょうか。
4番目は不妊対応であります。                       ここではまず結婚、出産に関する市のPR強化をあげたいと思います。様々な機会を通じて、                                (1)女性は30歳すぎたら妊娠がしにくくなること              (2)不妊を実感することがあれば2年を待たずともすぐ医者に相談すること   (3)の場合に国県市の不妊助成の状況を把握すること              ・・・これらを独身の頃から頭の片隅に置かす仕組みを作って欲しいのです。  そして、すぐさま実施して欲しいのは、1年限りでも良いから不妊治療に対する圧倒的な助成です。治療には相当なお金がかかると聞きます。国も県も当市も大幅な助成増額をみせていますが、市でも来年度限定で総額1億円になるぐらいの思い切った助成計画を立てて欲しい。不妊が少しでも気になる夫婦が全員病院に相談に行くような刺激策を創って欲しいと思うのです。これも乱暴でしょうか。
以上・・・今回も現実離れの訴えとなりましたが、こんな不連続な思考の中に次のヒントが隠されているという観点で受け止めていただきたいと考えます。