6月議会で「財政の改善について」と題して質問しました

雪の2月に夕張市に行ってきました。新日本有限責任監査法人黒石匡昭様と夕張市企画

室の佐藤主観のお導きで、鈴木市長とも1時間、対話の時間をいただく機会を得ました。こ

の夕張のイメージが新鮮なうちにと思って質問をさせていただきました

私は、夕張市は日本の市町の先駆け役を務めていると考えます。全市町は今すぐにでも

夕張を真似る必要ガあると思っているのです

興味のある方は長文ですがご一読ください

なお、議会での一般質問の評判は、「ユニークではあるが…」と、いつもどおりかんばしいも

のではありませんでした

 

 

質問概要

私の市議会議員出馬の原点は『国の今の借金を孫子の代に残して良いのか』でありました

国の借金は1053兆円と1年間に40兆円以上増加したことになります。一般会計予算が

96兆円なのに対して税収を主体とした歳入は僅か42兆円、その差54兆円は借金でまか

なうという異常な構図になっています。政府は20年に基礎的財政収支をプラスにするとし

て様々な施策を打ってきていますが実現が危ぶまれています。我々は今この国の財政破

綻といっていい現状を見過ごして良いでしょうか

 

一方、下松市は地方債を圧縮してきて実質公債費比率は0.8%と県内最良であります

また、地方交付税依存度も自主財源比率も県内一番と財政に余裕があります。しかし、自

分の市が良ければ国のことは知らないということにはなりません。仮に国が破綻すれば、

交付金もゼロになったり減額になることは必定です。当市が給食センター新設で見込んで

いた補助金が、財政力指数が優良という理由でカットされたことがそのことを物語っていま

せんか

国の財政危機は他人事ではありません。財政再建は国に任せて良いということにはなりま

せん。下松市にも担う役割があると考えます

 

下松市は自らが経営破綻から立ち上がり、他市に先駆け行財政改革を進めてきておりま

す。その結果が前述の数値に顕れておりますが、その中で、私なりに注目した3点を取り上

げたいと思います

ひとつは…財政力指数が0.862と高率なことです。特定の企業や団体の城下町でない地

方の、それも10万人未満の自治体の中では最優良な部類の数値ではないでしょうか…評

価します

ふたつは…臨時財政対策債のことです。前回の議会で、同僚議員からは下松市が満杯取

り込んでおればトータル20億4千万円の歳入増になっていたとの指摘がありました。私も

それを聞いて20億円の金があればどんなことができていたかなとの思いに駆られました。

しかし…別の同僚議員が発言されたようにこの臨対債をあてにしないことにも意義があると

考えます

下松市の20億4000万円といえば全国に置き換えればどうなるか…人口比で考えてみま

した。日本の人口12690万人を下松市の56千人で割ると2266倍、この2266倍で国の

数字を推測することは絶対とは言えませんが、ひとつの指標にはなりましょう。下松市の

20億4000万円といえば、この人口比で国全体の数字に置き換えれば約4兆6000億円

という金額になります。つまり、全国の市町が臨対債に対して下松市と同様なスタンスで対

応をとれば、言い換えれば、他の市町がそんな対応施策をとることが可能であったならば

(現実は不可能です)、国の財政は相当な改善があったはずなのです…スタンスを評価し

ます

みっつめは…小学校の給食センターの設立です。こども達に温かい給食を食べさせたい…

これはだれでも思うことです。しかし『あった方が良いがなくてもすむ』という視点に立てば、

致し方ない選択ではなかったかと考えるのです…決断を評価します

このような対応の中で、当市の一人あたりの地方債の残高は30億円と山口県でピカイチ

となっています。『財政に余裕を持つことばかりが行政としての役割ではない』との指摘もあ

りますが、こうして国民一人あたり830万円を超える国の“借金苦”の中で、そのような常識

論は通用しないと考えます

 

そこで…今疑問に思うこと、言い換えれば「辛抱しようという選択はないか」という視点で5

点指摘します

1の視点は…「費用対効果という観点からして辛抱できないか」という視点です…たとえば

…選挙の看板は190ヶ所も必要か、景観改善と台風、地震の災害対応のために1キロ

メートル4~5億円をかけて無電柱化を推進しようとしているが…必要でしょうか

2の視点は…「完璧でなくても辛抱できないか」という視点です…救急救命士はどんなケー

スでも常備しないといけませんか、監視カメラは絶対ですか

3のめは…「危機対応で法律や条令を積み上げていくことを辛抱できないか」という視点で

す…最近では御嶽山事件に懲りて入山管理をしようとしたり、ドローンを規制したりする…

法律や条例を作ればそれを管理するための仕組みがいる、管理コストが掛かかります

4の視点…「昔はこれで良かったからという観点で辛抱できないか」ということです…前述の

学校給食は温かい方がベターだが、脱し粉乳の給食に満足して育った我々の時代と比較

すればどうか、個人情報にこれだけ敏感にならねばならないか、空き家対策が絶対か、ゴ

ミは分別がベストか…例にあげたこれらの対策へケチをつけるのは現実的ではありません

が、今一度原点に返って考察してみても良いのではと考えるのです

そして5の視点として…以上の視点のすべてを包括すれば…「あった方が良いが無くても

済むことに辛抱しようという選択はないか」ということになりましょう

 

この5つの視点を踏まえて、夕張の現状をみてみたいと思います

夕張は「最小の行政サービスで最大の住民負担」を強いられている街です。私は「今のま

まだと近いうちに全国の市町が夕張のように破綻する、夕張は日本の縮図である」という世

間一般的な夕張論を申し上げたいわけではありません。「今夕張でできていること、つまり

今夕張で辛抱できるのなら全国各市町でも辛抱できるのではないか」という主張を持ってい

ます。夕張はむしろ「我々が学ぶべき先駆けだ」…そのような観点なのであります

夕張では『無くても済むこと、代用がきくこと』は対応していません

たとえば…市内に病院はありません、図書館もありません、中学、小学校は周南市と同じ

ような面積なのに1校ずつ、監視カメラの設置はゼロです、ゴミだしは有料でかつ分別せず

に山に埋めています、この広さで出張所は1ケ所だけです…そんな中で、住民は折り合を

つけていると受け止めました…学校はひとつの方が効率的、病院や図書館がなくてもなん

とかなる、治安は相互監視、補助金不足でバスの便が少なくても昔のように歩けば良い…

そんな雰囲気なのです

私を案内してくれた企画室の佐藤主幹は

『環境が厳しい今だからこそ身近な人が健康でこうして生きていることが幸せに思える。別

に夕張に住んでいる人が自分自身を不幸だと思っているわけではない』と私に語り掛けま

した

しかし、折り合いがつかないこともあります

これは市長の言ですが、根源的な安心安全の手が打てないつらさがある…ここが下松市と

の根本的な相違点です。インフラが危機的状況にあっても対応できない、夢のある投資…

予算不足と国と道の強い財務指導の下でロマンを追いかけられないのです

ともかく…下松市が行った市民アンケートでは、90%を超える市民が市の施策を肯定して

います。しかし、下松市民が普通に享受している行政サービスを夕張市民は受けていない

のです。それでも、夕張市民は折り合いをつけて生活をしている…このことをどう考えたら

良いのでしょうか…

 

以上を踏まえて…の当市の借金を増やさない施策を提案でしてみたいと思います

中央では、財政再建に関して、経済財政諮問会議、経団連ビジョン、財政制度等審議会な

どから、矢継ぎ早に提案されていますが、私はここでは当面の下松市の対応可能な収支案

を4つほど行いたいと思います

私はこの4案が絶対的な対応策とは思っているわけではありません。これらをヒントにして

今までの常識を覆す効果のある策を発案して実行して欲しい…そんな思いであります

1の具体策は…マイナンバー制度への強力な推進体制確立の提案です

情報漏えい、なりすまし、中小企業のセキュリティ管理負担…これらはオール日本の全知

全能を集めて乗り切らなければならない、つまりノーリスクを構築することが前提で…

マイナンバーの出現で霧が晴れるように永年やろうとしてもやれなかったことが飛躍的に解

決できると予感しています

まず…公務関連の手続き圧縮による管理コストが相当に減額になります。生活保護費や

扶養費など不法に取得している手当ての追及により歳出の圧縮がはかれます

医療、買い物ポイント、免許更新、自宅パソコンへの接続などなどは…利便と効率化がは

かれるます

そして、これが最大の効果と思いますが…証券、保険、銀行との統合による富裕層の収益

把握、資産把握が容易になります…きっと多額な税逃れの犯罪行為が顕在化または阻止

されるでありましょう

これらはまさに財政改善に直結すると考えます。世紀の行財政改革です、「行政の産業革

命」です

そこで…そのための第一歩として…当面10月からの国民、市民の受け入れ促進が必要で

すが、行政側も議会もそして市民も一緒になって、全国で下松市がマイナンバー推進の先

駆けになろうではありませんか、個人番号カードの交付率が全国一番になるような推進しよ

うではないかと提案したいのです

2つめは企業の市への寄付です

世間には「出世払い」ということばがあります、また、仏教用語に「喜捨」ということばもあり

ます。補助金などで業績を上げた企業の御礼感謝制度を提案します

最近の話題の中でひとつ例示させていただきます。JRは98年、国鉄清算事業団解体の

時点で国に24兆円のつけを廻しました。今その24兆円は税金で返済されて18兆円に

なっているといいます。一方、JR東海はリニアモーターカーに10兆円の投資を始めたそう

ですし、JR西日本はさらに企業拡大を目指して上場しようとしています。ふたつの会社が

好調なのは結構ですが、それは24兆円も国に借金を押し付けたという要素もありましょう。

業績好調な今、自らが借金を肩代わる出世払いをして良いのではないか、世話になった国

のために、国民のために貢献できる絶好のチャンスではないでしょうか

 当地に関係する企業にも創業支援、開発支援、進出支援等…に関して国から県から市か

ら商工会から補助金、減税等の「受益を受けた」例はたくさんありましょう。 その対象事業

が成功した場合は何割かを地元自治体に寄付することを制度化したらどうでしょうか

学生の奨学金は卒業してから国に返済しているじゃないですか。企業にできないわけがあ

りません

3つめは個人の寄付です

行政から何らかの受益をした個人が市に対して「感謝の喜捨」を求めるということを制度化

するのです。たとえば…図書館に年間に100冊を借りる本が大好きな人→一冊に50円く

らいの割りで喜捨しても良いと思っている人はいないでしょうか、。救急車で助かった人→タ

クシー代くらい払いたいと申出る人はいるのではないですか(これは経済財政諮問会議で

提案されている)、難しかった子供が先生の指導で立ち直って無事卒業できたとき→学校

に感謝の喜捨はどうでしょう、青木線ができて便利になった、通勤に関する時間が年間換

算すると大幅に短縮されたときにどうでしょう、そして親の面倒を見続けてくれている市への

感謝の気持ちのふるさと納税(今の感謝でなく景品眼目のふるさと納税システムはばかげ

ていると情けなく思っています)

いろいろあると思います。個人の感謝の行為としての寄付が払いやすい仕組みをつくるの

です

企業の寄付も個人の寄付も制度化しないとうまく機能しません。ふるさと納税制度はシステ

ムかしたからこそ様々な展開をみせてきているのです。大事なのは制度化です

そしてもうひとつ、これが本日私が最も訴えたいことがらですが『孫子の代のためにあった

方が良いが無くても済むことは辛抱しよう』という、行政と市民と議会との共通認識の醸成

です。本日の引用からすれば…夕張でできることは我々も対応できるというスタンスの醸成

です

 

最後に

我々が住民に最大、最適のサービスの提供を辛抱しても財政再建に取り組む理由はどこ

にあるのかを考えました

結局、不測の事態が起こった時に柔軟に対応できる余裕の財政運用のためでありましょ

う。余裕の財政運用…それこそが市民の安全安心なのではないでしょうか

この安心安全を少し具体的に言い換えると、

1は、これまでの社会福祉体制の継続です…高齢者の負担を急に増やすなど、既得権を

排除するのはつらいことです

2は同じ趣旨になりますが、弱者への対応は省けない、絶対的なものになるという観点で

す。この弱者視線には「あった方が良いが無くても済む」というスタンスはないと考えます

3は消費税の増税はせめて10%にとどめて欲しい…経団連ビジョンがいう19%は勘弁し

て欲しいと思います

4はせめてこれ以上借金が増やさない、こどもの代に恨まれない国の本気な借金対策をお

願いしたい

そして最後は、緊縮の中にも時折は市民にロマンを与えられる施策が打てる地方自治体

の財政余裕が欲しい、国民宿舎大城の新築はまさに下松市の余裕から生まれた夢です、

ロマンです。大城はあった方が良いがなくても済むことだとは思えません

 

先の当市の給食センター建設ほかの各市町がだした文科省への補助金請求は600億円

で、交付されるかされないかのボーダーラインは、財政力指数0.33ということだと聞きまし

た。当市は補助金がなくても別の資金手当ての選択肢があるので、事業の継続に不安が

ないのですが、財源不足を理由に文科省から交付をカットされた残り599億円の対象市町

はどのような対処をしただろうかとの思いを馳せます…当市の財政余裕が決定的に顕在化

した事例ではないでしょうか