日別アーカイブ: 2019年9月13日

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まず・・・今回の要約です。
市民に誇りと自信をもたらし「シビックプライド」を醸成するために・・・
1.映画「ある町の高い煙突」の上映に関連して、当市の恩人「久原房之助」を取り上げることで、本市の知名度アップを図れないか。私が実施した下松市民173人に聞いたアンケートでは『久原房之助を知っている』と答えた割合は28.9%であった。これで良いのかという思いをもつ。そこで、日立市など関係都市と友好都市契約の締結を行い、久原房之助を「NHK大河ドラマ」に取り上げる企てができないか。       
2.2019年版「住みよさランク22位」をどう受け止めて、市民にどう知らしめていくのか 、                        ㊀前年度から8位のランクアップの要因をどう評価するか、       ㊁上位ランク、不良ランクの指標項目の実態をどう捉えているか     ㊂市民は住みよさを実感しているとうか・・・私のアンケートでは『住みよいいう実感がある』という回答が82%あった・・・これは絶対多数といえないか                               ㊃人口が増加していることと、住みよさが高評価されていることとの関連をどうみるか・・・というものであります。
なお、以下は私の思いをかけた全文です。時間と心の両方に余裕のある方のみ、お目通しください。

私の思い。

私が大事にしている、JR九州社長の指摘を紹介します。

地域を元気にするということの本質は何か。地域が賑わうとか経済力が増すというのは副次的なものであり、まずは地域の人たちが自分たちの地域に誇りと自信を持つことが原点。そうすれば観光客数増や新規移住という結果は必ずついてくる。

私は『自分たちの地域に誇りと自信をもつ、これが街づくりの原点である』というこの発想に我が意を得た思いでおります。

今回はそんな思いをベースに2つのテーマに触れたいと思います。

まず、「久原房之助翁」を取り上げます。

皆さま、新田次郎原作の映画「ある町の高い煙突」をご覧になりましたか。日立市にある銅山が、120mもの高い煙突を建てて、煙害の防止に成功したという、経営者と地域住民との熱意が胸を打つ、すがすがしいストーリーでありました。映画は見ごたえがありました。

そして、その主人公の一人が、日立鉱山の創業者社長、久原房之助であります。

この久原房之助翁が、現在の日立製作所の始祖であるとともに、大正、昭和の時代を象徴する実業家であり、転じて、戦中戦後の政界のリーダーの一人であったことは、知る人ぞ知るところであります。

一方、翁が我が下松市に、人口18万人の日本一の大鉄鋼所の建設を計画したこと、その計画が、折からのアメリカの鉄鋼規制に阻まれて断念せざるを得なかったこと、そこで、お詫びの意味も込めて下松工業高校の創立のために大金を提供したこと、また、買収した土地がその後、日立製作所の車両工場に進展したこと・・・これらも、知る人ぞ知るところであります。

山口県の誇りと思う作家「古川薫」が翁を主人公として書いた「惑星が行く」の理想工業都市の夢という個所を紹介します。ユートピア構想であります。

第一期事業は恋ヶ浜から海沿いに造船所を建設、第二期は全域に鉄工所を設ける。地域内に流れる川は横に鉄道を施設し、運河を掘り、4カ町村にわたって新市街を設け18万人を収容、これに上下水道、電車(チンチン電車のことでしょう)をはじめ、学校、娯楽場、劇場、公園などの設備を整える。これが発表されると、地元は興奮した。まず、大地主の矢島専平が買収に応じることを了承し、下松町議会はただちに議会を招集して工場設置を全会一致で容認した・・・以上、記述を要約しました。

私は、この大鉄鋼所計画が実現していたら、下松市はどんな街になっていただろうかと、未練がましい思いにふけりますが、それでも久原房之助という人物を下松市の大恩人と思っている一人であります。

まず、下松工業高校=下工に関して・・・以前、日銀下関支店長は『山口県の瀬戸内沿岸の大型コンビナート工場がここまで発展したことは、地元工業高校卒の優秀なエンジニアの存在を抜きにしては語れない』と県内の工業高校の質の高さに高い評価を与えていますが、この下工は宇部工業高校と並ぶ県内最古の工業高校としてその先兵になった100年間の歴史があります。下工OBが地域の発展に果たした役割はいかばかりか・・・はかり知れないと考えます。

一方、日立製作所笠戸工場であります。創立90年を迎え、グループ企業を含め一体何人の従業員が、そして何人の家族が、日立という会社が下松市に存在したことで、生活し、家を建て、子どもを学校に行かすことができたのか、また、グループ企業が、その従業員が90年間の間、当市にいくらの税金を納めたか、市政80年、日立という存在が下松市に果たした役割はいかばかりか・・・はかり知れないと考えます。

それなのに…であります。私の300人アンケートでは(別紙Aの最後7をご覧ください)、「久原房之助を知っている」と答えた市民は3割に満たないのです。名前も聞いたことがない割合が55%にもなるのです。皆様、この事実を容認できますか。

しかし、嬉しくなる話もございます。300人のアンケートで・・・スポーツ公園でランニングをしていた親子づれにアンケートをしました。親も中学生のお姉さんも久原房之助を知らなかったが、公集小学校の生徒が一人知っていると答えてくれました。お父さんも私もびっくりです。聞けば、学校で習ったので覚えていたとのこと。そこで、公集小学校の湯浅先生に聞きに行きました。玉川校長(現教育長)、末次教頭にも同席いただきました。市が主導する80周年記念の発表会における「街の幸福論」をテーマにした授業の中で   、長岡外史とともに久原房之助について街の歴史という側面で教えたということです。私は80周年事業が意義をもってきたとこの話に感激しました。          

ともかく・・・恩人久原房之助を知っている人がこんなに少ない、よく知られている長岡外史との差は、生まれた場所なのか銅像なのか・・・私は悲しい思いになりました。悲しい思いになりはしましたが…考え直します。翁の存在価値を知らしめることが、市民の誇りと自信、さらに「シビックプライド」に結び付くのではないか…そう考え直したのです。

映画「我が町の高い煙突」は「100年前の実話を描いた映画」という触れ込みにも関わらず、久原房之助は「木原吉之助」と変名になって登場しています。なぜ実名を出さない・・・私はがっくりしております。

そこで提案します。久原房之助翁を主人公にした「NHK大河ドラマ」実現への下松市あげての推進であります。

実はこの発想にいきついたのは滋賀県甲賀市の視察がヒントになりました。若い議員が地域起こしのために「甲賀忍者を大河ドラマに」と呼び掛けていたのであります。大河ドラマなら1年間久原房之助という名前が出続けて知らない人がいなくなります。また、おそらく下松市に触れる箇所は1年間で2日か3日の放送でありましょうが、それでも「下松をしたまつとは呼ばせない」という効果が期待できると考えます。翁を通じて、下松市民に誇りと自信を醸成できるというものです。

さらに、久原房之助という存在は、❶明治以降の殖産興業の歩み、❷そのなかで長州閥が果たした功罪、❸加えて銅、石炭を主体に国内鉱山の開発と衰退、さらに公害への対応、❹昭和初期からの、軍部主導の政治とその抵抗勢力、これら、近代史の歩みを、裏面というか、別の視点から学ぶということ示すことになります。甲賀忍者とは歴史に関わった重みが違います。

さて、それでは大河ドラマが取り上げられる可能性は・・・どうでしょう。難しいと思われる理由は山ほどありましょう。

下工卒でテレビ局に関わりが強く、おまけに娘さんがNHKに勤めているという方は、『久原房之助はひいき目にみても地味すぎる…いだてんの二の舞になる』と一笑に付されました。ただ、『福山雅治、岡田准一、菅田将暉が主役なら多少の目があるかもしれない』との慰めもいただきました。再来年の大河ドラマは渋沢栄一だそうで・・・主演は吉沢亮とかういう、いかにもというイケメン俳優です。先をこされた感があります。

松蔭神社の名誉宮司上田様に聞くと『松蔭神社ではこの7月12日、久原房之助生誕150年記念講演会を開催したところ。久原房之助が注目されるドラマができることは大歓迎であり協力したい。しかし、残念ながら萩市における知名度は維新の志士と比較すれば相当低い』とのことでした。

古川薫著「惑星が行く」のなかで、下松市にふれたページ数は390ページ中、僅か12ページであります。

大河ドラマ実現には相当なエネルギーが必要になるというものです。そこで地域創成事業の側面も加えてひとつだけ推進策の提案をしたいと思います。それは、久原房之助関連の街の友好都市化であります。対象は先ほどの日立市、生誕地の萩市、翁が最初に鉱山経営に関わった秋田県の小坂町、日本鉱業の精錬所がある旧佐賀関町・・・ほかにもあるかもしれません。これらと友好都市契約を結び、定期的にサミットを開く、小中学生が交流する、それぞれの市民が「久原房之助発見ツアー」を組んで他市を訪問する、ふるさと産品やふるさとイベントを自慢しあう・・・そのような無から有を呼ぶ交流ができないでしょうか。そのことが、大河ドラマ実現の推進力にならないでしょうか。

さらにいえば・・・日立市にも小坂町にも鉱山開発を知らしめる記念館があります。我が街にも、日立の車両工場の歴史を展示する資料館が欲しいと思いますが・・・どうにかなりませんか。

さらに、さらに厚かましくいえば・・・日立笠戸工場を日立下松工場に変更して欲しい旨日立に申し込んで欲しい。過去、合併前の下松町が同趣旨の要望を行ったという経緯もあります。

大河ドラマ、友好都市、展示館、さらに工場名称変更・・・いずれも簡単な話ではありません。しかし、久原房之助という存在が下松市にどう関わったか、ひとつの企業進出が当市にどのような恩恵をもたらしたか、また、山下工業所ほかの地域関連工場の技術がどのように進化していったのか・・・ものづくりの街に住む小中学生に学ばせる機会や仕組みを考えて欲しい、それが、郷土愛を醸成することに疑いがないと考えますが、いかがでしょうか。

 

次に、2019年版「住みよさランキング」を取り上げます。4点指摘します。なお、B表は発行元の東洋新報社に問い合わせて作成したものです。

❶今回前年度比8位ランクアップした要因に関して、・・・紙Bをご覧いただきたい。今回は対象指標が16項目から22項目に増加しました。新規の項目の中には、水道料金をはじめ当市が有利な項目が追加されています。それもランクアップの要因なのでありましょうが、追加された項目はそのいずれもが住みよさに直結する指標ばかりで、むしろ今回の対象指標の方が住みよさを正確に、適格に顕していると私は捉えていますが、行政としてはどう受け止めておられますか。

次に上位ランクをみてみます。快適度⑬の水道料金は(実際の順位は全国5番目であるが)、私のアンケートでも300人中82人が優れていると指摘しており、市民の認識も高いと受け止められます。                

もうひとつランク1位の転出人口比率に注目したいと思います。Bの❷年間社会増を見て欲しい。表面1位、実際は全国11位です。今回の対象は17年実績、ここでは616人でありますが、殊に転入者が多い年で、この順位も判りますし、これがランクアップに貢献したことは間違いありません。余分なことですが、18年は外国人が110人減少、これによって社会減23名となっていますので、来期のランクダウンも覚悟が必要 でしょう。ただ、19年は1~8月で228人の社会増の実績があるので、来年1期間だけは辛抱が必要になるということかもしれません。

また、③の20~30才女性人口0~4才児人口の42位、⑯の気候・・・温度や日照時間が全国102位はどちらも認識が薄く、ありがたい指標順位であると考えます。自然の立地条件に感謝したい。また、首都圏から遠く離れた、政府の支援が行き届かない、また、恵まれない経済環境の中での、今回のランクアップを、また22位という順位を、行政の皆様から、これまでの舵取りに自信をもって、市民に伝えて欲しいという思いを持ちますがいかがでしょうか。                  

❷それでも、812市区中、500番以下のワースト指標もあります。Bの②、老年一人当り介護施設定員数は777位で、ほぼ最下位ランクであります。ただし、これは、特別養護老人ホームと介護老人保健施設のみが対象になっており、昨年、健康福祉部長から、18年度からグループホーム18床、ケアーハウス80床を進めているとの答弁もいただいているところです。私が隣接市の知り合いの介護施設の事務長に問あわせたところ、『下松市も含め、待機者が多いといわれる他市町からの入所者はほとんどない。ニーズはショートステイが一番であり、特養は敬遠かち』という回答がありました。この順位がそのまま課題の重さに結び付きません。                     

二番目の不良ランクは④のこども医療費助成の651位であります。当市は高校までもという市もあるなかで、確かにこの面では流れに乗り遅れています。堀本議員の質問では、財務面とのバランスに触れておられましたし、市長はこの対応は全国同一歩調が望ましいと述べておられました 。ここでは医療費助成の是非を問いかけることはやめますが、ひとつだけ・・・早くから対応済の兵庫県三田市は、18年以降、上限400円の自己負担を徴収、32年からは所得制限付けではあるが、自己負担800円に増額するという話を聞きました。財政改善のために逆行した施策をとる市も現れています。他市以上に厚い助成をした市町が、その分多くの交付税を受け取っていることにいきどおりを覚えます。

三番目の不良ランクは、⑫の市民一人当りの歳出額・・・646位です。発行社に確認すると、これは歳出額からは、議会費、総務費、災害復旧費、公債費など、間接的な費用や特別な費用を除いた額だそうです。この項目が住みよさ指標のひとつになることも判らなくないが、市民に多くの金をつぎ込むほど、市民は豊かになるのだろうかと疑問を持ちます。この指標は財政健全化という観点が抜けていると思いますが、いかがでしょうか。

ほかに、ワースト4は、⑮の都市公園面積は571位。アンケートでも(Aの6)若い人から、子どものボール遊びができないとの不満足意見もありましたが、大多数ではありません。ワースト5番目は、㉑の持家世帯比率526位・・・これは、当市への若い人の転入の流れでどうしようもないと考えます。          

こうして下位ランクをみていても不良の内容が決定的で、ここからの脱出が難しいという項目はないように思います。もちろん、弱点は改善、克服することが、市民生活をより住みよくする・・・このことは論を待ちませんが、限りある歳入の中での選択と集中という観点で、これら不良ランク項目に今後どう対応すべきでありましょうか。

❸は『ランクは良くても市民にその実感がなければ意味がない』という聞きなれた指摘に関してであります。別紙、A、市民300人に聞いた住みよさアンケートの3をみていただきたい。住みよさ実感があるかという問いに対し、300人中246人、82%の方が実感があると答えております。NOの回答は17%弱にすぎません。世の中のこのようなアンケートにおいて、絶対多数と判断するのは何%以上からでありましょうか。ちなみに、内閣支持率で過去最高であったのは、田中角栄フィーバーの75%あったそうですが、今回のアンケート82%はこれを超えています。また、7月29日の日刊新周南掲載された周南市が実施した市民向けの住みよさアンケートによると、「住みやすいと、どちらかといえば住みやすい」の合計が73%・・・当市と9%の開きがあります。下松市民は住みよさの実感をもっている、そう判断しても良いと思うがいかがでしょうか。

❹として「人口が増えてかつ住みよさの評価が高い」ことにどのような意義があるかという観点であります。

別紙Bの❸では、住みよさランキング上位で、ある程度人口が増えているのは、合志市や野々市という大都市隣接市を除けば、誠に希少なものであります。一方、ランキングが22位以内であっても、年間1%以上減少している市も、黒部市ほか10市あります。当市で1%といえば年間570人の人口減ということ ただ事ではありませ、対応を迫られます。人口が増えなくては住みよさの価値がなくなると言っては言い過ぎでありましょうか。

Bの❹はデーターパック指標のひとつでありますが、ここ5年、当市の人口が増え続け、一方他の地方都市の過疎化が進展したことにより、順位が極めて着実にアップしていることが判りす。現在も、南花岡や天王台に大規模開発で100戸予定、瑞穂のマンションは来年2月64戸、武田薬品の工場移転の移入も期待できそうであります。今後の人口増、それが住みよさと連動することを期待します。            

当市では1993年から18年までの25年間、約63千人の転入者がありました。8月末時点で5年前の比較をすれば、人口は943人、世帯は1454軒増加しています。学校や保育園の受け入れ体制、上下水道、道路等のインフラ整備、災害対策や交通や犯罪の事件防止、転入者の旧来住民との間の利害調整・・・現時点で、当市に人口が増えるなかで、いびつなほころびが顕在化していない、安全でかつ安心な住みよい街ができている・・・そのような行政の果たした役割は市民に正当な評価を受けてきたのでしょうか。

ともかく、人口が増えてかつ住みよいという現在の当市の状況を、どう受け止めたら良いのでしょうか。

アンケートした市民の300人の方のお一人から話を興味深く聞きました。『何度か下松市はすみよさランキングが高いと耳にするなかで、住みよさに関連する事象を注目するようになってきた。そうするうちに、実感として下松市は住みやすいと思うようになってきた』そう言われていました。

Aの2のとおり、住みよさランキングが全国有数であると知っているかの問いに、YESと答えた割合は91%と絶対多数といえるものでありました。

こうして、行政から市民に当市の優れた点、自慢できる点を、ひるまずに知らしめることこそ、市民に誇りと自信を植え付けるものと考えます。

私は今回ふたつのテーマを取り上げましたが、住みよさランクも、順位の上下には大して興味があるわけではありません。当市の各部門のデーターが、全国レベルの中でどのような位置を占めるのか、殊に当市が優れている項目を市民に認識してもらう、そして知らしめることで市民に誇りと自信を与える・・・このことこそ、住みよさランキングに求めるものではないかと考えます。

同様、久原房之助翁を主人公にした大河ドラマがそう簡単に実現できるとは思っていません。しかし、大河ドラマ実現の推進や、関係友好都市を探る過程で、市民に、久原房之助の価値を知らしめる、そして、市民が我が町の歴史を知る・・・このことで我が町の存在価値を認識する、それが重要なポイントだと思います。

そのための機会…この質問もそうですが、そのための機会を行政の方に様々に企てていただきたいというのが、本音であります。

今年は、倉吉市や四万十市が上位に位置し、『中四国一に住みよい街くだまつ』がキャッチコピーに使えません。そこで、いささか口がすべるという感がありますが、『住みよさを実感できる街くだまつ』というフレーズはどうでしょうか。

 

以上・・・ここまでのおつきあいありがとうございました。ここまでおつきあいいただいた希少な皆様のご意見を拝聴したいと思います。

 

阿武 一治 拝