日別アーカイブ: 2018年3月1日

2月の議会で「行政が稼ぐ」をテーマに質問しました

 

下松市の「稼ぐ」現状について以下厳しい、皮肉な指摘をしますが、私は当市の行政の姿勢を信頼しています。まず、そのことを断っておきます。        超長文になります。心と時間に余裕のある方のみ、おつきあいください。                     

世間一般の営利企業は「稼ぐ、省く、防ぐ、守る」をベースに事業経営を行っております。カネを稼ぎ、不要な事項は合理化し、コンプライアンスを基に事故を未然に防ぎ、そして株主や社員を守るということでありますが、最も重視するのは当然ながら稼ぐであります。そして、このバランスを失い稼ぐだけを追求した企業は市場から退出しております。では行政ではどうでしょう。            守る、防ぐが対応の95%、省くが5%、稼ぐという側面はあるかないかの僅かなウエイトしかないことが現状ではないかと思います。それで良いか、行政は稼がなくても良いのかというのが本日のテーマであります。

この発想のベースとして、まず、現状の財政状況について触れたいと思います。下松市はここ数年の大型投資によって堅実であった財政基盤が緩んできております。それは、28年度の将来負担比率に久しぶりに実数値がでたことに象徴されるかもしれません。一方、この将来負担比率7.0%は、当市の財政状況が悪化トレンドにあったとしても、他市に比べると、まだまだ圧倒的にましな状況にあることを明示していると思います。言い換えれば、当市は、今なら財政悪化の流れをストップできる恵まれた状況にあるといえるでありましょう。

加えて、当市の将来に鍵を握っているのは国の財政事情でありましょう。    私は1080兆円を超す借金を抱える中で、人口減対策、教育の無償化等への傾斜配分に首をかしげています。医療福祉は削れない、軍備は一定規模を確保しなければならないという状況の中で、生活保護費の減額、地方交付税の圧縮という、国が本来的になすべき役割の根幹部門、つまり、弱者の救済、地方行政の保護という最重点施策にしわ寄せがきているように考えます。

ことに地方交付税については、13年度から続いている「臨時財政対策債」(略して臨財債)という邪道ともいえる対応に加えて、昨今、財務省は、市町が有事に備えている積立金を悪玉にしてまで、今後の地方交付税の圧縮意志を隠そうとしておりませんね。                               現在でもこのような状況なのです。65才以上が40%を超す2050年頃には国の財政はどうなっているでしょうか。その時、地方交付税はどうなっているでしょうか。最悪、当市のように財政力指数が0.87と一定以上の水準にある市町には地方交付税は一銭もでない不交付団体に指定される、あるいは、必要な配分は、全額臨財債とする…そんな日がこないとも限りません。以上、このような国の危機的見通しと、当市の現状を考えると、今から自主財源の充実をはかっていく必要に迫られていると考えます。そのためには今日の段階から「行政が稼ぐ=行政に経営感覚を」ということが重要になりませんか。

それでは、当市に稼ぐ仕組みが確立されているかといえば、県内でも最も貧弱で心もとない状況にあると言えます。手数料+使用料+財産売払収入を除く財産収入のこの5年間は258百万円から217百万円とじり貧傾向にあります。また、使用料+手数料の2料の歳入合計に対する割合を県内他市と比較すると13市の中で最低の1.4%であります。最高は下関市の3.2%、平均は2.1%…当市がせめて13市平均レベルまで追いつくことができれば、計算上187百万円の増収になります。下松市の職員の皆様に“稼ぐ意識=経営感覚”が欠如しているのではないかと、疑問をもってしまいます。                  

今回、再質問も含めて、様々なアプローチを申し上げます。現在の皆様の常識ではとても対応できない、他市にも前例がない、聞く耳さえ持ちたくない事柄もありましょうが、私の私企業における経験では、近い将来ほとんどが実現されると断言できることばかりです。そう思って聞いていただきたい。

そこで1として、以下述べるすべての施策のベースにある思考経路として「グレーゾーン」に踏み込むということです。グレーとは何か…他人の評判を気にして、少し対応するのに勇気がいるが、決してブラックではない…それがグレーというのが私の解釈です。

行政が関わるグレーゾーンの最たるものは、「公営ギャンブル」ではないでしょうか。市民の一部の方の不幸の上になりたっている金稼ぎ、子どもには見せられない賭け事の場の主催…他市の施策にどうこう口を挟むことは、はばかられますが、私はこれは完全なブラック事業と受け止めています。公営ギャンブルが許されるのなら、今から話す諸施策は行政として馴染まない、かっこうが悪いなどとは言えない可愛いものだと言えるのではないでしょうか。

行政が永年の感覚からグレーゾーンと決めつけている分野に、勇気をもって踏み込もうではないかというのが、最初の問いかけであって、ある意味、すべての問いかけであるのです。

2つめは、行政がからむ収益が生まれる事業には、オール下松の人的パワーを結集して、稼ぐことを追求しようではないかということです。行政が今結集して対応しなければならない対象は大城でありましょう。大城には市から貸付金が8,800万円あります。また、国民宿舎特別勘定の借金20億円の30年度返済元金は6、600万円、利息は600万円、合計7,200万円であります。(大城建設支援として発行した「くだまつふるさと債」は毎年の返済基金の積み立てが4,000万円必要ですが、この仕組みには別の観点もありますから、ここでは言及しません)。

以上が大城がらみの借金とその償還の状況です。このうち、市から借入している、8,800万円の返済は4年を待たずに返済して欲しい。これは大城の絶対的使命であり考慮の余地がありません。                      次に、借金20億円の元利の償還金、7,200万円、これは大城に負担して欲しい。私は、自らが稼いでこの全額を返済しようという仕組みと覚悟が、大城にも行政側にも必要になるということを主張します。仕組みと覚悟です。

この市が一般財源から繰り出そうとしている7,200万円を、大城が自ら負担できたとしたら、市はその返済財源として用意した7,200万円のカネを別の事業にまわせるのです。これは貴重な財源です。稼ぎです。しかし、この7,200万円の利益の積上げを大城のスタッフや経済部だけに押し付けることはできません。オール下松でこの7,200万円をつくりあげる必要があります。

私の率直な感想を述べます。市民は料理の不足を言います。議会は大城サイドの努力不足を追求します。指摘をすることは結構です。要望も苦情も大城側は真摯に対応すべきでしょう。しかし、大事なのは・・・現状市をあげて大城を応援しようと気運になっていますか。議場におられる皆様、大城に対して100%、否、それ以上の支援の努力をされましたか。誰もが胸を張れますか。確かに市の行事の多くはこの会場を利用していますね。しかし、皆様個人はどうですか。何回泊られましたか。何回昼飯を食べに行かれましたか。何回お風呂に入りましたか。そしてこれが一番肝心なことですが、何人の親戚、知人を大城に誘われましたか。

別の観点です。多くの方が外部から各部を訪問されます。相談にこられた市民の方に「大城に行かれましたか」と声掛けしておられますか。行政に交渉に来られた取引企業の方々に「大城で忘年会、送別会をやっていただけませんか」と何度勧められましたか。他市から提案にこられる業者の方は多いと思いますが、大城のPRをされていますか。様々な文章を多方面に発信しておられるでしょうが、そっと大城のパンフレットを同封されたことがありますか。以上のこと、格好がわるいですか行政にはそんな商売魂はふさわしくありませんか。

3つめは行政の使っていない資産を活用して欲しいという観点であります。㊀命名権ネーミングライツはどうですか、㊁市がもつ市民課や税務課の登録情報。この個人情報をきちんと保護しながら知恵をしぼってうまく活用できませんか。㊂市が所有する土地や建物を広告塔として売り出せませんか。

命名権=ネーミングライツという仕組みは現在当市はゼロですが、検討されていますか。キリンビバレッジは年間使用料は500万円、県の維新みらいスタジアムは年間1,200万円だそうですね。ザモールストリート、鋼板踏切、日立海岸…命名権で稼ぐ種はいくらもある、そう思われませんか。

次に広告板を取り上げます。新幹線から観える広告塔について、市長が以前言われていた「くだまつ」を読んでもらえるような広告…これを日立さんに作ってもらいたい。文句は〈ここは新幹線の街・下松(くだまつ)日立製作所〉…これでどうでしょう。これで日立さんに広告料を払ってくれというのは虫が良すぎるかもしれませんが、新幹線生野屋南あたりの山に絶好な市有地はありませんか。

そもそも今広告料をもらっているのはどんなところに何社あるのか、広告手数料は25年度決算で148万円、28年度145万円です。全国の市町の中で広告収入が最も貧弱な街ではないですか(証明する手立てがあれば何時間かけても証明したい)。県庁のエレベーターには広告があるが当市にはありません、なぜですか。駐輪場の外壁なら広告をだしても良いという企業があると伝えたが動きがない、なぜでしょう。スポーツ公園のフエンスを、軽量ランニングシューズ、筋肉痛を和らげる薬品、マッサージやダイエット、近くの病院名等の広告版で一杯にしたいと思いませんか。

市民課の窓口で一年のうち1回あるかどうかの住民票の発行、当市は他市と横並びの200円のまま…夕張市は500円、瀬戸内市は400円でしたよ。市民課の年間手数料収入は1,800万円程度のようですが、その収入に対して人件費とコンピューター費用に限ってもいくらかかっていますか。いつも言っていることですが救急車の搬入や図書館の貸し出し一定範囲の喜捨(よろこんでしはらう)を受けても良いのではないですか。

これらも皆様にとってはできれば避けたいグレーゾーンでありましょう。しかし、踏み出してみないとその成果はつかめません。知恵をしぼれば手はいくらもあると思うが如何でしょうか。

4つめは寄付、最近の言葉ではクラウドファンディングという仕組みの推進です。栽培漁業センターの建設費の調達にこのしくみを提案しました。こんな大事業、こんな魅力的な事業、こんな地域貢献の事業、こんな他市がやらない事業…協賛してくれる企業や個人はアプローチ次第でいくらでもありはしませんか。栽培漁業センターに寄付を求めない理由は何なのでしょうか。きちんと事業内容と市の財政事情を説明して周辺の企業に寄付を求めることはできませんか。また、たとえば釣り好きの方に、お一人1,000円程度のクラウドファンディングを求める仕組を作れませんか。改築計画の最良なシナリオでも15億円のうち一般財源を31百万円を使うことになっています。せめてその金額だけでも寄付をしていただこうじゃないですか。

もうひとつはふるさと納税…うまくいっておりませんね。どんなセールスをしておられますか。

セールスということばが馴染みませんか。自分を高校まで育ててくれた、親の介護で世話になったと下松市に感謝の気持ちをもつ下松人は山ほどおられますよ。故郷を離れた“下松人”に「困っているので助けてください」というアプローチの仕組みを作られましたか。仕組みを作ることこそセールスの第一歩です。

最後に5番めとして体制の整備について申し上げます。            現在、「企画財政部」は企画と財政ほかが合一されています。この仕組みで企画部門は自由な発想ができましょうか。企画財政部長の一番の役割は市の健全な財政運用でありましょう。そんな部長の元にカネがどのくらいかかるか判らない、将来絶対成功するかどうか判らない…そんな事業を提案する勇気がスタッフにありましょうか。企画部門は夢を語ることが使命です。将来に向かって大風呂敷の構想を語る存在であるべきです。企画部門は財政から独立すべきではありませんか。

そこで、財政から独立した企画部門にぜひとも対応して欲しいことがあります。若手を選抜した「将来ビジョン検討委員会」の設置です。若手に自由に意見を述べてもいい場を与えて欲しいのです。部長、次長の皆様に、知恵をしぼろうという気力がない、昨日も今日も一緒で良いと思っている、そんな方は一人もおられないと思います。しかし、対応が簡単でない新しい事業を押し付けられたら「今のスタッフでやれというのか」と敬遠されると思います。ましてや他部の事業に横やり的な意見を言うことははばかられるという気持ちが、つまり縦割りの壁が存在していませんか。現在の業務遂行に責任を負っている部長や次長の皆様には、現場の常識を超えた新しいことを発想することは難しい。世の中の管理職とはそんなものでありましょう。しかたありません。

しかし、若手の皆様は無責任です。もちろん、発想すること、発言することには無責任であってはなりません。正しい理論や矜持が必要でありましょう。しかし、自分がその事業を実行するという面では無責任であります。無責任であるからこそ自由な発想ができるというものではないでしょうか。

たとえ話しを二つします。明治維新の100年前の長州藩の話しです。大変な借金を抱え財政窮乏に陥った長州藩が始めた改革は、若い藩士を呼び込んだ御前会議であったそうですね。そこから、従来の常識にとらわれない教育振興と産業育成の具体策が提案されました。まず、藩校や地域の郷校の充実に力を注いだ。次に、浜辺を干拓し田や塩田にした。山の斜面を切り開いて畑にした、川土手や畔には商売になるみつまた、こうぞう、はぜを植えさせた。皆様の家の裏山には今は竹藪になっている段々畑がありませんか。                       どちらもすぐに効果が顕れない、成果を得るには長い時間を要す、辛抱のいる事業です。しかし、その後の100年間の辛抱は、松下村塾の塾生に代表される人材の輩出、米、塩、紙、蝋の防長四白として結実しました。そして、その知力と財力が明治維新のエネルギーに結びついたことはご承知のとおりです。これこそ変革といえます。

もうひとつ。私が勤めていた西京銀行は約30年ほど前、バブルの後遺症で赤字スレスレの経営状況におちいりました。その際、若手社員を中心とした「経営改革委員会」というものが設置されました。前例にしばられず、他社がどうしているか気にかけず、管轄する当局がどう思うかを考慮せず、自由な発想で施策を生み出して欲しいとのトップからの要請でありました。合言葉は『Something new samething dfferento』…「何か新しいものを 何か違ったものを」でありました。要請に応えて無責任な立場ゆえの発想で、30ばかりのこれまでの常識にとらわれない施策を提案しました。この施策を聞いた部長、次長は「そんなことができるか」と相手にしませんでした。しかし、それらの案はその後30年でほとんど実行されるに至ったのです。なぜか、時代が…たくさんの銀行がつぶれる金融危機という時代が、変革を迫ってきました。生き抜くために、それら前例のない施策に踏み出さざるを得なかったのであります。

毛利藩の財政危機、西京銀行の金融危機…同様、1080兆円を超す我が国の借金事情、多額の財源不足状況というなかであえぐ山口県、そして財務のバランスが揺らいできている下松市・・・この国、県、市の現在の苦境は、危機的状況にあると認識すべきではありませんか。何か従来の延長線上にない施策を打ち出す変革の時期にありませんか。

企画部門の独立を求めます。若手の自由な発想のでる横断的な委員会の設置をお勧めします。

最後は財政問題に関して私見を。再度、臨財債を取り上げます。今回、先輩議員の粘り強さと企画財政部門の前例を超えた見事な対応で、臨財債予算の満額対応したことで来期以降に向かって予期しない3億5千万円の財源確保ができました。そこで私はここ数年、満額借入対応しなかった20億円余りの財源をもし満額借りていたら何ができたかを興味深く想起しましたが、一方、借らなかった=財源がなかったことで先送りしてきた、言い換えれば対応した方が良いけれど対応しなくても済んだ事業何であったのかと、さらに興味深く想起したのです。          事業の判断基準に“不要不急”という表現があります。しかし、市民それぞれに多様なニーズのある中で、不要という観点はあるのでしょうか…私には判りません。しかし、不急という判断はあるでしょう。必要ではあるが、差し迫っていない事業というものを市民に我慢してただくという視点はあると思います。そこで…私は今回の臨財債の取組の過程で、『財政再建のために不急の新規事業のの3年間凍結』を考えました    。今まで我慢できたので、財政悪化の流れをストップするためにその事業を「もう3年待ってもらえませんか」と市民に理解を得るということです。市長は、施政方針では市政運営の理念として「選択」と「集中」と「変革」を上げられましたが「先送り」という理念も加えて欲しいとまじめに思うのです。                 

交付金や補助金のからみがあり、単純に数字を上げることは無謀かもしれませんが敢えていえば、これからの3年間で、地方債と基金のバランスを毎年10億円づつ30億円改善することを目標にしようと提案したいのです。山口県は次年度予算に事業を大幅縮小しています。差し迫った理由、背に腹は代えられないからに他なりませんが、177もの事業を廃止した変革はすざましいと思います。私の「3年間凍結、先送り」と変わらない発想と受け止めました。             私のこの暴論は、現在の財政事情を憂いてのことであります。私は暴論の裏にヒントありと思っています。                                      

私がこれまで述べてきたことは、数年後には対応を迫られることばかりである、そう私はう確信します。早く対応すれば、それだけノウハウが積み重なります。「住み良さは 防ぐことから、守ることから」…今回の一般質問でも防ぐ、守るという安全、安心に関して、たくさんの提案がなされました。不要のものはありません。しかし、財源がなければ安全も安心も確保できません。将来負担にも耐えられません。

私は「住み良さは 稼ぐことから 省くことから」にあると信じて疑いません。

 

長文のおつきあいに深謝です。