こちらを見てください・・・12月の議会質問「行政ビジネス」

本日は行政ビジネスについて11案を提案する。
私のいう行政ビジネスとは、行政自身が出資して行政マンが経営を主導するという第三セクターのようなものではなく、下松市が保有しているヒト、モノ、カネという資産をこれまでにない知恵でもって価値を創造しよう、現状のままでは金を生まない資産に付加価値をつけようというもの。
国の借金は1062兆円になったと聞く。このまま歯止めもなく増加していくと地方交付税や国庫支出金はますます窮屈になることは疑いもない。福祉や子育ての分野の歳出は増えることはあっても減ることはない。今のうちに市が独自で儲かる仕組み、賑わいを生む仕組みを創りあげることが重要と考えて取りあげるもの。  今回の提案はいずれも現時点では常識的なものではない。しかし、次の3つの視点でもって大筋を受け止めていただきたい。                  (1)以下には国や県ほかの団体の資産が対象のものも多い。市の関りはその資産活用のための交渉役の前面にたつ役割ということだとご理解いただきたい。(2)現実離れした案に対しできない理由を探すことで頭から否定をせずに、何かヒントはないかと「別次元の知恵」をしぼるテーマであると考えていただきたい。(3)は現時点では絵空事であっても財政がにっちもさっちもいかなくなった時点ならどうか、時代が要請するということがありはしないかというスタンスで考えていただきたいという3視点である。
1.栽培漁業センターのリニューアルに期待・・・県内の小中学生約10万人が一度は訪れる魅力のある、賑わいを生む日本一の施設として生まれ変わることを期待している。財政面で懸念されているが、(1)入場料をいただく、(2)全国の魚好きな人に「ふるさと納税」を呼びかける、(3)全国の食品、水産業者に「企業版ふるさと納税」を呼びかける・・・等が検討できないか。
2.市役所職員OBの組織化・・・OBとその親族で市役所に仲間意識のある縁者は相当な数になろう。私の経験ではOBは古巣に何か役に立ちたいと思っているはず。意見聴取のモニターだけでなく行政の親衛隊として様々な協力が期待できるのではないか。
3.行政の所有施設の命名権の付与(ネーミングライツ・パートナー)・・・たとえば、サンリブ南交差点、ヤマダ電機歩道橋、東洋鋼鈑前踏切、日立緑地公園、中電工スポーツ広場、山九恋路坂、トライアル跨線橋、ザモールストリート。いくらかの命名権付与収入も見込めるが、これらの企業とのキズナを強めるという面も大きい。下松市のパートナーになってもらうのである。
4.広告媒体の活用拡大・・・市報や封筒、ホームページに市内民間企業のPRが掲載されている。20年前には考えられない手法であろうが今では誰も違和感を持たないであろう。掲載先の2社に継続している理由を聞いた。両社とも広告提供効果、直接の商売効果に関心を示していない。1社は「市の広報の媒体になるということで自社の信用が増す」と言い、もう1社は「様々下松市に取引をいただいているので恩返しの寄付をしているつもり」と言っている。そのような市と距離が近い事業所はたくさんあろう。双方ともウイン・ウインではないか。そんな広告機能の高い媒体を探したい。下松駅北立体駐輪場にも、キラボシ館のビルの壁面にも何の看板もない。いずれも列車やホームから丸見え、優良な広告媒体と思わないか。他市ではゴミ袋を媒体にしている。ほかにも庁舎、公民館、体育館の外壁やフェンス等に看板を設置したり・・・知恵をしぼれば様々な収入源があるのではないか。
5.ハギレ地、高架下等無価値な不動産の活用・・・市が所有するまとまった遊休地はこれまで整理を続けていると聞くが、私の対象としているのは市や国、県、JR、道路公団等が所有しているものも含めて、現在は価値を生まない土地。区画整理や道路の付け替え生じたハギレ地や、高架下の空間等、あちらこちらにあると思う。この利用はできないか。(1)小規模事業所に賃貸する、(2)PR看板の場所として提供する、(3)駐車場用地や畑作用地として広く市民に開放する等が考えられる。多少の収入機会も創出できるが、無価値の土地を活性化できることの方が大きいと考える。
6.花岡駅、久保駅周辺の再開発・・・両駅とも相当の年数が経過しており、管理上、安全上の問題を抱える公共施設といえる。JR側には同様な古い無人駅舎を多く抱え込んでおり、とても両駅だけを改築するような選択肢はないであろう。そこで、駅舎を当市の金で建て替える、そして、その見返りに駅ホームの移設もからめて余剰土地を安価に下松市に譲ってもらう。当市は駅舎建設の負担をする代わりにまず(1)安全で見栄えが良く最新の管理システムを備えた駅舎ができる、(2)駅舎の中に集会所ほか様々な公的施設をつくることができる、(3)きっちりした駐車場ができる、(4)余剰地を宅地化できる、そして、そのことは(5)公共交通機関の利用促進につながる、さらに、懸案である(6)花岡駅東の踏切道路の拡幅、(7)久保駅のトイレの新築ができる・・・市民はそんなメリットを享受できる。
7.1万人規模の「ふるさと応援団」の創設・・・自身が下松の中学、高校を卒業した、親が下松出身者である、昔一時期下松に住んでいた、そのような「下松人」を集めて組織化する。これこそ職員のOB会が力を発揮する。ふるさと納税、婚活応援、Uターン等々、創設効果は多くあるが、この組織の活動の中で地元業者が潤う、市または応援団体には金が入るという行政ビジネスの仕組みも期待でる。たとえば、地元に残した家や田畑、墓、骨董の売却、管理の仲介の仕組みになる。
8.行政データの活用・・・地元企業のPR媒体として市民課のビックデーターの利用という観点。判りやすい話を例示する。ランドセルの会社と市が契約を結ぶ。市は持っているデータから来年度に小学校入学する児童の親御さんに次の文章を添付してランドセル会社のパンフレットを送付する。その文章は、        『ランドセル販売業のA社から紹介を依頼されましたのでパンフレットを添付します。気に入られたらA社に直接アクセスしてください。A社とはまず、このパンフを送付することで50万円の寄付金をいただき、さらに、この仕組みでランドセルが売れるごとに10%の手数料をいただくという契約になっています。この収入は子育て関連に使い方を限定しています。なお、当然ながら皆様の住所、氏名をA社に知らせてはおりません』。                        死亡届時に墓石の、独身者に婚活の、他市の方で市内に不動産をお持ちの方に仲介不動産会社の・・・ その他、知恵をしぼればいくらでもでてくると思う。なお、プライバシー侵害について東京の懇意な弁護士に尋ねたが、『運用に気配りすれば行政データーを使用すること自体には問題がない』という見解であった。
9.利(受)益者負担機会の拡大・・・救急車の出動に対して、図書館の利用に対して、いくばくかのお礼のお金を支払うこと。有料と制度化することには現時点では無理があろうが、「ありがとう寄付」という形ならどうだろうか。消防署の玄関に、図書館の入り口にこの「感謝のボックス」を置いておき、自由に入金していただく。その寄付が救急医療や図書館の充実に資するなら、納得度も高くなるのではないか。もうひとつ、国、県、市からもらった助成金、補助金等で実施した事業が成功した場合には、その補助金をもらったばかりにせずに、ふるさと納税として行政に返還することはどうだろうか。少なくとも、下松市から歳出する場合には「儲かったら返してね」という契約を設けても良いのではないか。知恵をしぼれば「ありがとう寄付」の対象はいくらかあると思う。
10.市からの支払いに市内店舗限定の商品券を・・・たとえば工事代金等の諸払い金、たとえば補助金、助成金、たとえば給与、報酬等の一部を市内商品券で支払いするというもの。特会を含めて300億円程度の金が下松市から市中に流れる。この金の一定額を確実に市内の消費に回すという狙い。この仕組みが適法か否かであるが、企画財政課から問い合わせていただいた結果は、『直接禁じる条文はないが、個々の条文から鑑みると違法と判断される』というもの。一方、私が聞いた先ほどの知り合いの弁護士は、『運用方法に工夫がいるが違法ではない』との見解。微妙である。
11.行政の持つ道路、駐車場の上空の空間の活用・・・不動産活用の中でここでは道路や施設の空間権の売却という視点で提案したい。たとえば、駅北広場上の4千㎡、あるいは北斗町の駅北から西京銀行までの300メートルの道路上5千㎡、体育館、ほしらんどの駐車場、それぞれの空間権をデベロッパーに売却する。無料で売却する。業者は2階以上に駐車場を作る、商業施設を作る、(老人)マンションを作るという展開である。土地代が無料であるという条件を最大限生かすということ。また、下松駅南の広い直線道路を改造して斜めの駐車場が30ぐらいできないか。国、県、市に関わらず行政が持つ不動産の空間に目をつけて知恵をしぼってみて欲しい。
以上、11件の提案をどう聞かれたか。                   最初に「できない理由は後回しに」と断わったが、きっと荒唐無稽、とても行政の俎上にのるまいと受け止められたであろう。しかし、国の借金はますます厳しさを増す中で、福祉や医療等命に関わる出費、安全安心というフレーズに関わる出費は抑えられない。そこに子育てが重要視されてくる。新規の土木や経済関連の予算を削ることでやりくりしても、いずれ行きづまる。遅かれ早かれ国も、県も、市も非常識と思われる案でも取り上げなくてはならない時代が必ずくる。そんな環境は財政状況が他の市町ほど差し迫っていない下松市でも同じ。           そこで私が考える3つのポイントを申し上げたい。(1)として、時代がますます厳しくなるという危機意識の醸成。合理化を進めてきたが、次は儲かる仕組みに注力することに目を向けようという共通意識の醸成が必要。(2)時代の変化は、現在の延長線でない常識を超えた施策を要請してくるという認識。時代が要請するということ。(3)そのことに知恵をしぼる若手による部の枠を超えた、いわゆる縦割りを打破した横断的な検討委員会を設置すること。若手は実行に責任がない分、発想が斬新になるはず。
『イノベーション=新しい切り口とは今ある既存の知恵と今は離れている別の知恵との組み合わせた知恵である』そうである。私の11案はどうであろう。議長から「提案はどんな飛躍していても片足は地面についているべきだ」という趣旨のアドバイスをいただいたが、私は私の提案は十分地についたものだと思っている。  行政は「自らの価値」に気づいていないように思う。下松市が持つヒト、モノ、カネの見直しをお願いしたい。知恵をしぼっていただきたいと訴えたい。
以上、質問しましたが、東京都知事ではないが“全敗”でありました。その晩はヤケ酒で紛らわせましたが、今後もめげずにケナゲに提案していく覚悟です。
長文のおつきあいに・・・感謝。