9月議会質問③大城の料金を改定してさらに市民の誇りと自信の場に

17・9・参考

三つめの質問テーマは大城。

国民宿舎大城は開業から10ケ月を経過した。開業時特需の賑わいが一段落し、当施設が持つ現時点の集客力やポテンシャル、将来予想等が見渡せる状況になってきたと考える。この時点でもう一度経営チェックを行い今後の対応を考える機会としたいと取り上げる。

すなわち、現在の経営状況に基づいて、①市民の健康、福祉の施設として運営できれば儲けほどほどで良いのか、②現在1億円強の借入の返済ができれば良いのか、③収益事業として、次のリニューアル時期の30年後までに今回投資額約26億円をある程度回収する道をさぐるのか、これを選択すべき時期と考える。

私は従来より③を主張しており、この観点で話を勧める。           1~6月の実績を年間ベースに置き換えてみたのが別紙F表。ここでは、年間利益は約39百万となっている。                        観点の1は、今後この売上数字の水準を保つことができるかという点。この時期、開業時特需がピ-クであることは疑いもなく、今後、売上増のための企業努力は継続されたとしても、同規模施設(=「中旅館」)同様の稼働率まで落ち込む怖れも予測される。                               観点の2は、「出ずるを制す」。この経費の節減はよく言われることであるが、効果が限定的と考える。開業時の混乱による負担増はいくらか納まっても、食材の市内業者重視などを実施すれば原価率は厳しくなる。              観点3.したがって、現在の約39百万円の利益を30年間、保持したと仮定しても、合計蓄積額は12億円程度にしかならない計算になる。現状の経営力の維持だけでは、その12億円もとても難しいと判断される。

それでは、どうしたら26億円の回収額を生み出すかという点。対応策として宿泊料金の増額を提案したいと思う。現在の通常の1泊料金は食事つき1万円を切っている。暮れや正月の繁忙期料金設定もない。F表の類似中堅旅館の数値と比較するまでもなく、当施設の料金設定が相当廉価であることは疑いもない。詳細はF表コメントの記載のとおりで省略するが、大城の初期投資約26億円を30年間で回収しようとすれば、また、その課題を料金設定を世間並みにすることで解決しようとすれば2千円弱程度の宿泊料金の値上げを必要とすることになる。

それでは、2000円弱程度の値上げをが市民の理解を得ることができるか。ふたつの対応策を考えた。ひとつは、市民には退館の時点で値上げ分の館内割引券を配る。いまひとつは、市民に限って当日予約、当日宿泊の場合=つまり空き室を埋めた場合は旧料金とする・・・こんな案はどうだろうか。ほかにもあるでだろうが、知恵をしぼれば市民の理解を得られる対応策はあるのではないか。                  

また、現在、市民の宿泊利用率は15%程度と聞く。つまり、85%は市外からの来訪者であるということ・・・市外から来訪者の85%に対しては、営利を目的にしてもおかしくない状況にありはしないか。                                                                    さらに、市民からも、投資額の回収金は、初期投資の回収することを説明すれば、許容度が増さないか。                                                                     

せめて開業時特需のあるしばらくの間だけでも2000円弱程度の値上げをして、当初の投資額をいくらかでも回収するという道筋を立てることが必要ではないかと思うのだが。私が独自に市民の多くの方に値上げの是非を訊いたところ、現在の値段設定で高稼働率を維持すべきという意見もあったが、ほとんどの方が、値上げに見合う料理、サービスの充実をあげながらでも料金設定の見直しにおおむね賛同しておられた。                               今の機会に料金設定を見直して、施設の繁栄と継続を望みたいと思うがどうか。

ところで、大城に対しては肯定、注文、批判いろいろな意見を聞く。私が市民に問いかけた、値上げは是かという質問に、上げても良いけれどと、料理やサービスに多くの注文がついた。昼のバイキングはある店と比べて料理が数段落ちるとの批判も聞いた。                                                                              

しかしである。                              先輩議員は周囲に『一度泊ってみないと大城の良さが判らないよ』とPRされている。                                     ある同僚議員の話、「紹介した友人が気に入って帰りに次の予約をした」そうだ。楽天トラベルの口コミ,感想情報では多くが5点満点の4を超えている。    かのバイキングに行ってみた。私は料理の味が判らない、何を食べてもおいしいという人間なので妻の感想を聞くと、深みが違うとのご宣託であった。私は考えた。向こうが仮に料理が相当勝っているとしても、笠戸の眺望価値はどう加えたら良いのだろうかと。                                            

私が夕日とその波光を浴びた露天風呂につかっていると、隣の同年配の方が風呂の中でシヤッターをきっておられた。聞けばこれまで全国5000回以上温泉に入った自称「温泉バカ」で、同好の仲間を連れて大城が目的で横浜からきたとのことであった。『あちこちで夕日を見てこられたでしょうが、この夕日は日本一の夕日だと思われませんか』と訊いたら『そうだ日本一だ』と答えられた。これはいくらか誘導尋問的であったが、『温泉の湯はともかく、このロケーションは全国数ある温泉と比べてひけをとらない』と評しておられた。                                                                             

商売の世界には『クレームが宝である』という格言がある。批判、注文されたことに真摯に対応しなければ事業の発展はない。大城の経営者や職員へ、よりお客様目線にたったおもてなしのレベルアップを望むのは当たり前のこと。がしかし、それほど大城は批判されねばならないであろうか。  

私は大城こそ市民の誇りと自信の場所であると強調したい。私は開業以来多くの方に大城を中継ぎ紹介した。皆さん喜んで帰っていただいた。なかでも私の田舎の敬老会50人がバスで昼飯を食べにこられた。私の故郷美祢市には海がないので、大城からの眺めに驚嘆しておられた。私に遠慮して嫌味を言わなかったという側面は大いにあろうが、多くの方は下松市民は住まいの近くにこんな風光明媚な低料金の施設をもっていて羨ましいと思われたと思う。                   大城は優れた施設なのだという認識を持とうではないか。また、市民の多くの方に大城に泊ってもらい良さを認識してもらうことで、誇りと自信の場にしていただきたいと思う。                               

 フロントで「布団はお客様ご自分で敷いてください」と言われた。布団ぐらい自分で敷きます。布団を自分で敷いても大城は他所より相当低料金と考える。大城は市民にとって周囲に自慢できる、また、親族や親しい友人を招くことができる「誇りと自信」の施設であり続けてほしいと思う。                 2ヶ月後に開業1年目を迎えるこの時期にあたり、初期投資が回収できる料金改定をぜひとも検討いただきたい。