「1000人規模のふるさと応援団」構想について議会で質問させていただきました

昨年12月、下松市議会において私が行った一般質問の要旨です。長文になって恐縮ですが、これ以上割愛不能です。よろしければおつきあいください。
なお下松ご出身で現在は他市にお住まいの34名の方にアンケートをさせていただきました。お騒がせをいたしました。お礼を申し上げます。
私は前回の一般質問において、国民宿舎大城の安定した運営のために、まず下松市民に宿泊を促す「一度は泊まろう運動」を提唱しました、二番目には周辺市民、周南、光市民を巻き添えにするがことが重要になると、そして、3つ目の集客策として下松出身者の「1000人規模の大城応援大使」の創設を提案しました。その後3ヶ月、この「ふるさと応援団」を1000人規模にして、そのエネルギーを単に大城の宿泊誘致だけなく、下松市のが抱える諸課題への対応策の一手法として展開できないかと考えました。
こんな発想に至った経緯は以下のようなものです。私は歌が大好きですが中でも歌詞に、作詞者にこだわります。すべての歌詞の中で一番好きなフレーズは童謡「ふるさと」の三番、『志を果たして いつの日にか帰らん 山は青きふるさと 水は清きふるさと』です。作詞者は高野辰之というエライ国文学者でこの先生のふるさと長野県の北部にある山あいの村を訪ねてみました。下松市でいえば花岡の上地や久保のあたりの風情です。まさに山は青き、水は清き村で「春の小川」や「秋の夕日に照る山もみじの紅葉」や「菜の花ばたけに入日薄れの朧月夜」の情景どおりのふるさとの村でありました。
さて、この童謡ふるさとの2番は『いかにいます父母、つつがなきや友がき』…故郷で学んだこと、親が暮らしていることを『雨や風につけても思い出ずるふると』としております。私はこのふるさとの歌詞を口ずさむつれづれに、やや身勝手な発想をいたしました。ふるさと下松を離れて他所で暮らす皆様は、この自然豊かな下松市の山や川の風景を懐かしんではいないだろうか、18才まで育ててくれた下松を、また、親の病院や介護の費用の負担をしてくれている下松に感謝し「恩返し」をしたいと思ってはいないだろうかと発想したのです。そして、ふるさとを懐かしみ感謝している下松出身者の方々の心情に寄り添い、その方々の思いに頼るこで、下松市の抱えている諸課題の取組みの対応策にならないかと考えたのです 。
それでは下松市を離れている方々が関わりのある課題にはどんなものがあるでしょうか。(これは下松市に限ったことでなく地方都市全体の共通課題でありますが)たとえば人口減対策としてのUターンやIターンの促進、たとえば緊縮財政の補填の一手法としてのふるさと納税 、たとえば現在全国で13%を超えるという空き家対策、これら課題のキーパーソンに現在故郷を離れて別土地で生活している旧下松人になってもらえないものでしょうか。
そのために下松出身者の方々と常に緊密なルートをつくるべく情報交換機能としての「ふるさと応援団」の創設を提案するものです。
なお、1000人としたのは最低1000人は集めないと効果が期待できない、エネルギーにならなと思ったからで、事情が許せば2000人でも3000人でもと思っています。1万人規模でもとアドバイスをしてくれた地方自治の専門家がいましたが、そもそも全対象が2万人前後と想像されますから…おのずから人数の限度はありましょう。
私が1000人規模の「ふるさと応援団」で実施したいこと、言い換えれば現在の下松市の課題に対してしていくらか効果があると考えることを列挙します。
①帰省して新築の国民宿舎大城を利用してもらう ②周囲の方々に大城利用をPRしてもらう     ③ふるさと納税を依頼する   ④Uターンを促す    ⑤周囲のIターンの希望者を紹介してもらう     ⑥周南地産の食品を購入してもらう   ⑦周囲の方々に周南地産の食品を勧めてもらう     ⑧実家が空き家であれば貸家、売却、解体が可能か情報交換をする    ⑨周南出身者で全国で活躍を期待できる文化人、芸能人、アスリート等を応援してもらう
以上、私が考える「ふるさと応援団」の役割ですが、如何受け止めになりますでしょうか。
次はこの組織を実際運用する仕組みについて…たとえばということで考えてみました。
1.まず応援団に登録してもらう運動をする、会員の募集行為が必要になります。専属のスタッフを常備して管理しなければできないでしょう。募集活動は簡単ではないと考えますが、あとで述べます。
2.会員になった方には③のふるさと納税の紹介や申込み書を送ってアピールる。市の実情を話して「ふるさと納税を何に使って欲しいか」と問いかけ、希望者にはその手続き方法を伝える…そんな手順になろうかと思います。
3.④…Uターンの希望を募り市の担当者と共に「帰りたいけど帰れない事情」を検討しつぶしていく。手順としては…最初の募集行為の時点でアンケートを実施して「あなたは故郷下松に帰って住みたいと思いますか」と問いかけて、住みたいけど住めない事情のある方に対しては「Uターンを阻害している事情のうち下松市側で検討できることがありますか」と協力を表明する。そして一緒になって阻害要素をつぶしていく…という手順では如何でしょうか。
4.⑤…周囲にIターン希望者があれば教えて欲しいと周知しておき…下松市側の担当部署を知らせておく。
5.⑥⑦では地産食品のパンフ申込書を半年毎に20枚送って周囲に配っていただくことを依頼する。
6.⑧の空き家の利用についても募集行為の時点でアンケートをし「あなたは故郷の空き家になっている自宅をどうしようと思っていらっしゃいますか」と問いかけ「売りたい」または「貸したい」「解体しても良い」と応えた方には市の担当部と協議していくという手順です。
以上、机上でいくらか考えてみました。ほかにも手法はいくらもあると考えられますがどう思われますか。
そのような過程で「ふるさと応援団」の方々には会員としてのお礼とつなぎとめのために、年に2回程度は地産の食品を送るのはどうでしょうか。当市は他市と異なりふるさと納税の推進に品物を送ることに消極的であることは賛同できますが、この方法なら如何でしょうか。
ここまで「ふるさと応援団」の役割と仕組みについて述べてきました。しかし、1000人の組織を作るのはそう簡単なことではありません。以下は私が想定する克服すべき課題です。
一番目は会員の対象選択です。最も手っ取り早く募集ができて上記の諸課題への効果も高い選択は、①年齢は50才以上、②地元に親がいて、③男でそれも長男(家取)、④パソコン通信ができる方…これなら9つの問いかけに応えていただきやすく、また管理コストが比較的少なくてすむという身勝手な選択ですが…こんな偏った形は許されないでしょう。線引きが難しいなあと考えますが、あまねく募集するのも大変だと思います。如何思われますか。
二番目は会員募集の方法です。長野県茅野市ではこのような市を盛り上げる「ふるさと応援団」の会員が半年で500人に達したというので訪問して訊いてみましたが、市内の住民が80%程度を占めているということでした。私が提案しているのは市外、それも県外の方を主体に考えていますので、こんなに簡単にはいかないでしょう。
別添は私が34人の方に知り合いを通じて行ったアンケートの結果です。アンケート[ふるさとアンケート]は私の知人を通じてお願いしたものです。数も少なくこれが判断材料になりうるかどうか疑問ですが傾向は判ると考えます。回答していただいた方は22人、答えていただけなかった人は12人です  。そのうちふるさと応援団に15人が加入しても良いという答えです。この数値から類推して…アンケートに答えてもらえなかった12人も否定と考えて34分の15が「ふるさと応援団」の趣旨に肯定いただいたことになります。つまり、34人中15人…44%という割合です。  いずれにしても対象の方が実際何人いるのか実数が掴む掴めませんが1000人の募集はそう簡単ではありますまい。
三つ目はかかる費用です。私が訪問した長野県茅野市では「ゼロ予算」と評して女子職員一名で対応しておりました。募集対象をどうするかということもありましょうが、上記程度の管理なら窓口は実質一人でも対応できるかもしれません。事業の内容上、65才以上の高齢者採用が良いかもしれません。加えて、たとえば半年に一度程度地産の商品を送るとすれば1000人規模なら年間400万円程度の費用が発生します…1回に2000円程度と想定してのことです 。その他市報を送るとか雑費を計算すればさらにいくらかのコストを覚悟しなければならないでしょう。
その財源を「ふるさと納税」に求めるのは如何でしょうか。アンケートで会員になっても良いという人のほとんどは「ふるさと納税OK」という回答をいただいております。1000人の会員を募集できればある程度の「ふるさと納税」の額は期待できると考えますが如何でしょうか。
4つめは地元の皆様の協力です。会員募集行為は地元の協力を仰がねばどうにもなりません。また、いざ運営することになれば地産業者の理解や大城等の協調が必要になります。 また、空き家対応には不動産業者の協力が不可欠です。
以上の課題や負荷の程度は先進の市に習うことが一番楽なのですが、ネットでも見る限りこのような策を打ち出しているところが発見できませんでした。
この仕組みができればさらに展開が可能なこともありましょう。たとえばということで「展開可能な催し物の企画として」     ⑩各地で会員の同窓会をやるのは如何でしょう         ⑪下松出身者の高校生の子どもに親のふるさとを訪ねる会は如何でしょう 。大城に泊まっていただいても良いしホームステイも良いかもしれません          ⑫都市に住む適齢期の男女が下松の男女と婚活パーティは如何でしょう      親御さんは地元下松の方との縁組を望んでおられるかもしれません        ⑬親の故郷で就職しませんかとふるさと就職セミナーは如何でしょう       ⑭故郷の企業や不動産に投資を求めることは如何でしょう        「いつの日にか帰らん」と空き家の購入希望があるかもしれません         大城のフアンドを創設すれば参加していただけるかもしれません。いったん組織を作ったら様々な展開が可能になると考えますが如何でしょか。
 市長は常々「財源なくして政策なし」と言われています。この「1000人規模のふるさと応援団」は(表現が適切でなくご批判が生じることを覚悟してストレートに表現させていただきますが)悪くて恐縮ですが、下松出身者の方々の故郷を思う気持ちに依存する下松市の稼ぐ仕組みつくりと考えます。地元の景気の刺激策にもなると考えます。
市長はどう受け止められましたか。ご回答をよろしくお願いいたします。
矢作弘著「縮小都市の挑戦」にこんなことが書いてありました。
ある都市研究会に呼ばれて都市間連携について話したことがある。話題が税の再配分制度の話になったところで役人風の男がニヤッと笑って「それは無理ですよ」というような顔をした。私はそのときに「役人の脳みそにこびりついた前例主義を取りのぞかなければ改革は始まらない」叫びたい衝動に駆られた。改善、改良も大切だが、その積み重ねではパラダイムの転換は起こらない。「できることを超えて行動」しなければ社会の変革につながるブレークスルーに遭遇することはできない、阻害している障壁を突破できない、飛躍的な発展もない。
下松市がこうして全国有数の財政内容になっているのは前例にこだわらず、できることを超えて行動してきたからこそであろうと思っていますが、私の提案する他市に例のない、できそうにない1000人規模のふるさと応援団に対しても実現に向けてお骨折りをいただければとお願い致します。
以上が私の質問の概要です。市長、各部長から検討していくという真摯な回答をいただきました。
皆様はどう受け止められますか。感想をお寄せください。
 長文へのおつきあい感謝します。